まだ4月に入ったばかりだけど今日は珍しく肌寒い日だった。


私は誰にも気付かれないように寮を出て、ようやくイーストガーデンに着いた。


さて、どこにいるのかしら……………?






ーギュッ


「莉依紗。」


後ろから急に抱きしめられた。


「大樹…………。」


大樹の腕が少しだけ緩んだので私はパッと大樹の方に向きを変えた。


「久しぶりだな………。」


「そうね………。お互い連絡を取っていなかったもんね。」


「お前………だいぶ痩せたな。」


「そうかしら?」


「俺に黙っておけるのか?………隠してることあるだろ?」



………ばれた。



「大樹…………」


急に私の目から大粒の涙が………。


「助けて…………。」


「どういうことだ?俺は雷也から何も連絡を受けてないが?」


「気づいてないのよ。気づかせないようにしたから。」


私は袖を肘辺りまで捲ってみせた。


「………お前その痣………!」


私の腕には無数の痛々しい痣が広がっていた。


「どうして黙ってたんだ?」


「だっ…………て。言えるわけないじゃない。言えないの。だって……」




「いじめてきたのは西月だからだろ?」


「西月って誰のこと………?」


「は?おい、雷也どういうことだ?俺がいない間に何があった?」


「話しますけど、とりあえずお嬢様が震えていらっしゃいますので。」


「ごめんな、莉依紗。ここだと誰に話を聞かれるか分からないから移動する。莉依紗は少し休め。」


眠くないのに………と思ってしまったけど大樹にだっこされた途端、安心感に包まれて寝てしまった。