お嬢様の秘密Ⅱ

-葵side-


「だから言ったろ?ユリは嫌いにならないって。」


部屋に残された2人。


「………お前はユリのことを分かっているけど俺は未だに掴めないんだ。」


「………そうか?」


暗い声でボソッと言う俺を玲央は不思議そうに見つめる。


「………俺は葵がその程度の人間だったら例え誰が相手でも会長に報告してお嬢様を返してもらうぞ。」


「………どういう意味だ。」


玲央は少し怒っていた。


「………大事な幼馴染だから。傷つけたら夏菜が黙っていないし。」


………そうだな。


浅井はユリに関してはすごい熱意的だから。


「でもそんな俺たちが葵と一緒にいることを反対していない。それが今の葵には分かるだろ?」


「………ユリが俺の前で泣き顔を見せたことか?」


玲央の顔に少し笑みが戻ったから………肯定、なのか?


「………ユリのこと、分かってんじゃねえか。」


「………それだけだろ?」


「ユリにはそれが大事だから。俺たちの前ではまず弱気なところは見せないから。」


玲央はそれだけ言って俺の肩を叩いた。


「お嬢様たちがお待ちだから早く行くぞ、葵坊っちゃま。」


「俺を坊っちゃま呼びするなよ………。」


俺を急かしながらも執事らしい動きをする玲央に自然と俺の心にも余裕が生まれてきた気がする。


「ユリをよろしくな。傷つけたら俺らが全力で取り返しにいくから。」


「分かった………。」


俺らは固い握手をした。


少し成長を感じたような、そんな気分だった。


-葵side end-