「……ここは学園じゃないからそんな話はよそうか。」


葵の眉間にシワがよりかけていて……正直怖い。


「そうだね……。で、部屋割りはどうするの?」


「………今日は男女で分けていいかしら。明日の準備をするのに便利だから。」


夏菜は私に軽くウィンクした。


ってことは何か考えてることがあるんだな……。


「じゃあね〜!」


ぐいっと腕を引っ張られ、私は夏菜に部屋へ連行された。







ーガチャッ


部屋の鍵を一応閉めておいた。


「………夏菜?どうしたの?」


少し前に離れて立っていた夏菜は私の方にゆっくりと向いた。


………泣いてる?


「ユリ………。私どうすればいいのか分からない………。」


とりあえずソファーに座らせて夏菜の顔を隠すように抱きしめる。


「………玲央のこと?」


わずかに震えたってことはあってるのか。


「………気づいてた?玲央といつもみたいに目を合わせていないの………。」


「………ずっと私か葵のほう向いていたかな………。」


まだ会う予定じゃなかったのに急に会ってしまって嬉しい反面動揺しちゃってるのかな。


「玲央を信じているの。だけど遠距離でなかなか会えていなかったから不安の方が強くて……。」


夏菜がこんなに弱っていることってほとんどなかったかも………


気づいてあげられなかった………