お嬢様の秘密Ⅱ

「この学園は緑が多いほうだけど、この森は特に気持ちがいいわ。」


「ふふ。気に入っていただけて良かった！自然のパワーってすごいでしょ？」


「病気の療養のために時々来るのもいいかもしれないわ。」


まるで別世界のように感じさせてくれる学園内の森。


噂では門を通らずに外に出れるとか。


………やってみようとは思わないけど。





「そろそろ戻りましょう。入り口から近いけど念のために。」


ガーデンのほうへと車椅子を動かそうとした時。




ー一瞬の殺意を感じた。




「………ユリどうしたの？」


ーピュッ


車椅子のすぐ近くに長い矢が刺さった。


「キャッ！ユリ逃げましょう！」


「残念ながら無理ですよ、お嬢様方。」


現れたのは全身黒に覆われた男たち。


「………誰が狙いなのかしら？」


自分から出た声だとは思えないほど冷たい声だった。


………相当怒っている時は怖いと夏菜に言われたけど本当だったみたいね。


「立っている方。………できれば車椅子のお嬢様も殺しちゃえばちょうどいい。」


「いや………2人ともスタイル良さそうだぜ。殺す前に食っちゃおうぜ。」


真理亜様はもう震えていて私に手を握っている。


「殺す前に食べるって……あなたたちは人間の肉も食べるの？」


言っている意味がよく分からない………という様子を見せながら首をかしげた。


あたりが一瞬騒然となった。