「奥様………それは私が目を通してはいけないものですか?」


お父様をお見送りして戻ってきた国松が不思議そうに聞いた。


「そうではなくて………。あなたにも見せてもいいのだけどその前に確実な裏を取りたいのよ。」


「裏、ですか………?今から警視庁に行きますか?」


「いいえ、むしろこの書類を持っては行けないわね。お父様がなぜわざわざ裏道を使ってまでここに来たか分かる?」


お父様は決して無駄な行動はしない。


絶対に理由がある。


「誰かに見られる恐れがあるからですか?」


「そういった理由だと思うわ。ここは校舎内の出来事は絶対に口に出してはいけないのが暗黙のルールだから。」


ご子息たちを守るために決められた絶対的なルールは知らないとは決して言えないから。


「では私が言って調べるのは無理ですか?」


「………なんとかするわ。健二お兄様に協力してもらうわ。」


「なぜ健二様を?元警察官である沙那様ではないのですか?」


「私もそれ思ったんだけどね。………妊娠が発覚したってよ……。」


あの2人も元気すぎるわ………。


「でもお兄様でも限界はあるから国松には過去の事件のファイルを調べてもらうわ。」


「かしこまりました。行ってまいります。」


………忙しくなるわ………