随分と久しぶりに感じる学園の門。


………緊張して手が震えている。


「お嬢様、開けますよ。………校舎まで30分以上は歩かなきゃいけないんですから緊張はすぐにしなくなりますよ。」


ーギギギッ


少々古めかしい門を広大さんが開ける。


荷物を広大さんに持ってもらい、中に一歩踏み出した。








校舎にほど近いフラワーガーデンでは、生徒たちが花道を作っていた。


「ねえ広大さん………私はどうすれば。」


「今回のお嬢様は転校生じゃないからこんな整列はおかしいのですけれど………。」


ちょっと首を傾げながら生徒たちの中を割って入っていった。


………


………女子生徒の目線が辛い。


どうやら一般生じゃなくて特別学費を払う特別生がほとんどで、一般生の子はちらほらいるってかんじ。


男子は………なんか歓迎しているように感じるのは気のせいよね。





5分くらい歩いただろうか。


いつもよりお上品に歩いたから時間がかかってしまったわ……。


「ユリ!戻ってきたのね!!待ってたわ。」


夏菜がいるってことはもうこの整列は終わりが見えた。


夏菜たちがうちに来てたのは秘密にしてある。


私は夏菜に微笑み………そして前を向いた。