「お母さん、大丈夫だから。………初めて行く場所じゃないから。」


………そうね。


「何かあったら絶対に周りを頼りなさいよ。………もう傷つくところは見たくないの。」


「お母さん………。」


「一番取り乱していたのはお姉様だけど。ユリが学園に戻ったら、現在学園にいる私たちの味方をユリの前に登場させるわ。

っていうかお姉様がそうすると思うけど。」


「莉依紗様が………。」


お姉様とユリはかなりそっくりね。


「何かあったら今度は私を呼んで。裃は私的護衛をつけることが出来るから。」


私だって元警官よと付け加えておいた。


「ええ!?そんなことも出来るの!?………でも家は?」


あ、言うの忘れてた。


「この家のこと話すの忘れてたわ。この家はお姉様とお義兄様が新婚した時に設計してもらったんだけど、いろいろあったでしょ?

出来るのがちょうど私たちが引っ越してきたくらいなのよ。」


「だいぶ時間がかかったんだね………。ってことはお母さんは?」


「ええ。そろそろユリに話すべきことは話したから本家へ行くわ。私も荷造りしているの。」


初めてなのよね、旦那の住んでいる家に行くのは。


「じゃあこの家空なの?」


「ユリが学園に戻る頃には家にはお義兄様たちが荷物をこちらへ運んでいるわ。」


するとユリが複雑そうな表情を浮かべた。


………どうしたのかしら