無我夢中で走ったけど………。


ここどこ!?


「はあ………はあ……ユリって足速かったんだな………。りい似じゃねえか。」


「大樹様もお速いじゃないですか………。」


「2人とも急に走ってごめんなさい。………ここどこ!?」


「ああ………ここはお袋の部屋の前。やっぱ顔立ちが似ているだけじゃなく血が繋がっているんだな………。」


お祖母様のお部屋!?


「俺も色々言いたいことがあるんだ。中に入ろうか。………理央、お茶をよろしく。」


「かしこまりました。鍵はこちらです。」


何十本も鍵がジャラジャラ………。


よく音を立てずに持っていられたね………。


「ありがとう。さあユリ、中に入って。」


ーお邪魔します………


心の中でそっとつぶやき、私は一歩足を踏み入れた。





かわいいお部屋………。


私の第一印象はそれだ。


壁紙やカーテンが花を用いたデザインで、決して子供っぽくならず上品さを溢れさせている。


お祖母様はだいぶ前に亡くなったって聞いていたから埃だらけだと思ったのに………。


「かわいいデザインじゃないか?お袋の趣味だったんだよ。全ての部屋が定期的に掃除されているから綺麗に保たれているだろ?

今みたいにお客様が迷い込んで入った部屋が埃だらけだなんて言われるのはあまり心地は良くないしね。」


今からでもここに住めそうなくらい綺麗。


本棚があるくらいであまり家具はないけど。