「あの方は意外と盲目なところあるから気づいていないのかもよ。」


私は何気なく右手を見た。


いつものように繋いでいるけど何かが違う。


………震えている………?


「葵…………どうしたの?」


「どうしたって何がだ?」


「手が震えているよ?」


葵は一瞬驚いた顔をして、すぐに寂しそうな顔になった。


「俺………ユリが連絡取れなかった時、悪夢を見るんだ。」


「悪夢……ってどんな夢なの………?」


「俺の前で………俺の目の前で意識を失って倒れる夢………。」


「大丈夫よ!………毒の耐性が強いのわかってるでしょ?」


「そうだな………。あの様子じゃ真理亜は………お前の体質を知らない上に毒の効果をいまいち把握していないようだ。」


ジャックの独断かな。


「そんなことよりさ………。ユリ、どうするんだ?これからのこと。」


「わからない………まだ混乱しているの。」


「なあ………俺はユリがどんな出身であっても受け入れられる。重役達を納得させられる。




だから俺のそばにずっといてくれ。」




…………こ、告白!?


「ちょっと………不意打ちで告白は………。」


「俺だって恥ずかしいんだからな!いたって本気だが。」


「私だって葵と一緒がいい………。」


ポツリと言った私の言葉が聞こえたのだろうか、葵は口元を薄く緩めた。