夕方だったがとっくに日が落ちていた。


部屋に沈黙が続いている。


「………どうして私に毒の耐性があったの?遺伝的なものなんでしょ?」


「私の家は毎日少量の毒類………害にならない程度に飲み物に入れてるの。」


さらりと答える。


「どうして……………いつも私を気にかけてくれたんですか?

最初から施設に入れとけばよかったじゃない!そうしたら恵梨香さんも真理亜も満足だったんじゃないの!?」


「………最初はそれも考えたの。だけど………あなたは警視総監の孫だったから逆に調べればすぐに分かるから。

別の危険もあったのよ。

沙那はあなたを後継者となっても警察官となってもいいように育てていたみたいね。



いつか必ず会うことになると見越して。」



そう寂しそうに笑った。


「私を許さなくてもいいわよ。あなたを助けられなかった………どうしようもない母親なんだから。」


「ほかに子供はいるんですか?」


「ええ。何人は。だけどあなたが一番狙われやすいわね。」


恵梨香さんがいる限りか………


「でも一度あなたに会えて嬉しかったわ。」


「…………もしかして裃学園のフラワーガーデンですか?」


「そう………あなたが2歳ぐらいだったかしら?沙那に預けて1ヶ月くらいした時、一度連れてきてくれたわ。」


あの夢………本物だったんだ……。


「話し終わったから私は帰るわ。………それと、お義父様が呼んでたから明日行ってちょうだい。」


クルッと踵を返して部屋から出て行ったローゼ………莉依紗様に何も声をかけられなかった。