結局リムジンの中でも全く離れてくれなかった。


おかげで心臓が壊れそうなくらい鳴っている。


おかげで大樹は至極ご機嫌。


「おい、まだ拗ねてるのか?」


「拗ねてなんかいないわ。」


執事2人にミラー越しにニヤニヤされるの恥ずかしかったんだからね!


「女性の機嫌を取れないとは………大樹はまだまだだな。」


「うるせぇよ………彼女に会えてない恨みかよ。」


「そうとってもらっても構いませんよ。」


電話で不安そうにしてたけど………由香里、かなり愛されているわよ。


入り口で先に待っていた竜也にお店まで案内された。


大樹は私の腰に腕を回してエスコート。


「大樹様、莉依紗様。お待ちしておりました。今宵はどうぞごゆっくりとお楽しみくださいませ。」


レストランの料理長が直々に挨拶しに来てくれた。


大樹が予約してくれたお店は高層ホテルにあるレストラン。


夜景が綺麗で有名なの。


………貸切にしなくても………。


執事たちは店の外に待機しているように大樹が指示した。





料理はフランス料理のフルコース。


出てきた料理はとても美味しかった。


「すごい美味しい!」


「だろ?ここの店は昔、お袋と一緒に来てたんだ。」


さ、さすがおぼっちゃま………


「お袋が亡くなってからお前は落ち込んでいただろ?」


バラすなと言われているから必死に知らないふりしてたんだけど………分かりやすかったんだ。


「大丈夫だ。お前の演技はうまいからバレてない。」


私の心を見透かしたのか………そっと励ましてくれた。


「お母様………。なんかお母様に近づけたみたい。お母様にはとてもよくしてもらったのに何もできてないから。」


記憶を取り戻せたのお母様のおかげだし………。