鞄の中からあらかじめ持ってきておいた文庫本を取り出し、読み始める。

「隣失礼します」

「?あ、どうぞ」

笑いながら席に座ったのは眼鏡をかけたおさげの女の子。
眼鏡とおさげが似合いすぎていて委員長にしか見えない。

「初めまして。保村百合です。」

「水野杏南です。よろしくね。杏南って呼んで?」

「はい。では百合とお呼びください。」

「敬語じゃなくていいよ?」

「癖なんです。気にしないで下さい。」

「うわ〜真面目そう」

「よく言われます。何故でしょう?」

眼鏡におさげ。
それに敬語じゃ仕方ないと私は思う。
私達は先生が来るまでお喋りをしていた…


「はい、座れ〜」

「先生だ。」

「今日からお前たちの担任になる持田だ。よろしくな。」

教室に入ってきたのは少し長い髪を無造作に結び、スーツの上から白衣を着た先生。
入学式なのに先生の顎には少しだけれど髭がある。
持田先生は並べと言って廊下に出る。
クラスはAからFまであって、百合の話によればAが成績が良かった生徒が集められていて所謂『階級分け』みたいなものがなされているらしい。