「何を…―――」

 呟きかけた瑛太が言葉に詰まる。

 直子は瑛太の視線の先にある、知美の顔を見た。

 知美の瞳には涙が浮かんでいた。

「…ごめんなさい、お母さん」

 瑛太の言葉に、知美が顔を輝かせた。

「…帰ろう、瑛太。おでん冷めちゃうから」


 END