直子は頭を押さえた。

「これ、ほんとにぼけただけかなぁ。車に乗ってあんなにはしゃぐ高校生、初めて見た」

 直子の隣で、赤信号のため車を止めた知美が後ろを向く。

「ねぇ瑛太」

「何、オバサン?」

 …。

 知美がしょげた。

「お母さん?おかあさーん?」

 応答なし。瑛太の反応がよほどのショックだったらしい。

 直子は携帯を取り出した。

「お父さーん、ヘルプ~!お母さんが自信喪失した~~」