直子は瑛太から離れて知美に電話をした。

◆◇◆◇

 暫くしてから、知美がやってきた。

 時間は、電話してから三十分後の八時半だった。

「瑛太、どこ行ってたのよ!心配したじゃない!」

 知美が叫んだ。

 通行人は気にしないのか振り返らずに歩いていく。

「何も言わずに勝手にいなくなったりして!」

 パンッと乾いた音が響いた。

「いたっ」

 知美の平手が瑛太の頬をひっぱたいていた。