自宅にて。

「オジサン、それなに?」

 納豆のパックを開ける元太に、瑛太が聞いた。

 それ、とは黄色い袋――つまりカラシだ。

「カラシだけど」

 元太は当然だけどな、とでも言いたげな口調で言ってから思い出す。瑛太は謎の記憶喪失だったのだ、と。

「それごはんにかけるとおいしいのか?」

 ごはんにかけるんじゃない、納豆にかけるのだ。と元太が言おうとした途端。

「聞くよりも実践だな」

 瑛太はそう言って、元太からカラシを奪うとごはんにかけた。

「あ」

「何してるの、お兄ちゃん!」