暫く後。

「うーん、これはただの記憶喪失だと思いますよ」

 医者が結果を見ながら告げる。

 車に乗って大はしゃぎして、携帯電話を知らなくて、自動販売機に抱き着いてるのに、ただの記憶喪失!?

 人間、おかしなものだ。

「い、異常ないんですか?」

「検査の結果、異常は何も見つかりませんでしたよ」

 もしかしたら、あのMRIは壊れていたのではないか?なんて思うが言えない。

 異常はなくて、ただの記憶喪失?と首を捻っている知美のところへ瑛太がやってきた。

「オバサン、それなに?」