「今日の練習は終わりでーす!」


時計の針が午後7時を指す。
それと同時に私たちの部活も終わる。


『お疲れ様でしたーっ』


挨拶も終わり私は片付けを急ぐ。


「志保ちゃん手伝おうかー?」


「…いい加減先輩と呼べ。それから敬語。」


私は南志保。
剣道部のマネージャーをしている。


「じゃあ志保せんぱーい」


この生意気な奴は高田奏斗。
私の後輩。

…のくせに先輩と呼ばないし敬語も使わない。


「おいお前ら、喋ってないで早く片付けろ。
じゃねぇと俺が帰れないだろ!」


「宮本先輩!」


この人は宮本洸先輩。

先輩で剣道部の部長。
剣道もとっても上手で部のエースだ。


「すぐに片付けます!」

私は急いでタオルを持ち運ぶ。

「あぁ頼む。」

「じゃあやっぱ俺も手伝うよ!」

「お前はとっとと着替えて帰れ!」

「え、宮本さんひどくないっスか?」

「お前がいるから南が片付けに困るんだよ。」

「そーだそーだ!」

「志保ちゃんもそこ同意なのかよ!」

「ったく、本当に…」


「洸ーっ!」


すると、突然聞こえた宮本先輩を呼ぶ高くて綺麗な女の子の声。


「ん?」

「あ、美咲先輩!」

その声と共に綺麗な女の子がこちらに向かって来る。


「皆部活お疲れ様。

洸帰れる?」

「あぁ、あと少しだから待ってろ」



この人は一柳美咲先輩。

宮本先輩の幼なじみ。

いつも宮本先輩の部活が終わるのを待っている。


宮本先輩は部室に向かい、美咲先輩も先に靴箱へと足を進める。


「あーあ、邪魔されちゃったね」


奏斗くんが私にしか聞こえない声で囁く。

…私は今宮本先輩の事が好き、だ。


そしてその事を奏斗くんは察したらしい。



でも宮本先輩は多分、いや絶対

美咲先輩の事が好きだ