「その頃からだよ。演技だけしはじめた。自分を見失っちゃって。取り戻せない。命がさ。悔しくて。憎くて。自分も憎くて。なにもできなかった自分が悔しくて。隣で平然としていた男が許せなくて。あぁ…男ってこんなもんか。ってさ。」


全部吐き出したらスッキリした。


「ありがと。美樹菜。ありがと」

そういって、水城は私のことを抱き締めた


「これからは、美樹菜も幸せになれ」


「神谷…それは……できないよ。私は幸せになっちゃいけない。沙恵を苦しめたから。」


「それは違うな。沙恵さんは美樹菜の幸せを願ってないとでも?もし、美樹菜が水城のことで傷ついたとして、水城に不幸せになってもらいたいか?」


「そんなわけない!」



「それが答えだ。自分を押さえ込むな。美樹菜には俺たちがいる。美樹菜が幸せにならなかったら沙恵さんだって安心できないよ」


「神谷…」



私は幸せになっていいの?



沙恵を苦しめたのに?



沙恵は…どう思うの?



‘自分の好きなように生きて。それを望むの’




頭に流れてきた。



沙恵……かな。


もしかしたらそう思いたいだけかも知れない。


でも……幸せになっても良いかな?



頑張ってみるよ。幸せになるために



「って、どさくさに紛れて抱き締めたでしょ…」



「あ、あはは…」


「神谷ーーーー!!!!」