MY HERO


12時を過ぎて両親が寝たのを見計らい私はこっそり外に出た。


「はる兄?」


隣の家に行くとはる兄は玄関でうたた寝をしていた。


「おぉ、恵人。じゃあ行くか。」

そう言うとはる兄は自転車にまたがった。

「恵人。後ろ乗れるか?ちゃんとつかまってろよ?」


「うん!」

はる兄の背中はとても暖かくて眠くなりそうだった。


家から自転車でどれくらい走っただろう。

辺りは初めて見る景色になり私は少し怖くなった。


「恵人?もう少しでつくからな?」

怖がってるとわかったのかはる兄は私に優しく声をかけてくれる。


「うん。」

私はただひたすら落ちないようにはる兄の背中にしがみついた。


それから5分ぐらい走っただろう。


「恵人着いたぞ。」

自転車を降りてはる兄は私を抱っこした。

「俺が良いっていうまで目つむっててな?」


「うん。」


はる兄は私を抱っこして歩き始めた。