春です。
そろそろ卒業が近くなってきました。
けれどその前に3年生の皆さんには受験と言う悪夢な時間が待っているのです。
アタシと楠本や雄太や井上は絶対志望校別、だからどの道卒業したら離れ離れになる。
毎日の喧嘩は耐えないし、相変わらず会えば憎まれ口を叩いたりもするけど急に寂しくなるんだよね。
この雄太との日常が2年後消えちゃうんだって。
いずれ来る別れのことなんてクソ考えたくないけれど、もしも、もしも、その時が来たら私はどうするんだろう。
スキマスイッチの「奏」って曲を携帯で聴きながらぼんやり考えた。
私もこの人みたいに“さよならに代わる言葉を”探さなきゃならないのかなぁ、なんて。だってきっと、さよならなんて言えない。むしろ言わない、つーかマジ言いたくないわー。

「ハッピーバレンタイン!」

「ん、わざわざサンキュー。」

チョコは大幅に渡す期間を過ぎてしまったけれど、なんとか幼馴染の裕吾に手渡すことが出来た私に、軽く別れを言う。
あ、やっぱりお別れが来るのかな。
そんなの嫌だな、絶対嫌だ。


(むしろ二人で会ってる時にこんなこと考えてる自分がやだな。)


「それじゃ、…またね。」


もしかしたら“これ”がさよならに代わる言葉になるかもしれないなぁなんて思いつつ。

(私はずっとずっと探している。貴方がくれたすべての思い出に対しての感謝の言葉を。)