雨がうるさい。
いやに耳に響いて頭をガンガンさせる。
今日が女の子の日だからだろうか。
ぼんやり教室の外を眺めて久しぶりに部活もなかったので桜を待っていた。
そういえば、あの日もこんな雨だったっけ。
どこだっけ、どこかの部屋で彼に会った時だ。
今の雨みたいなすぐに泣き出しそうな顔をした雄太が思い出される。
あ、…そうだ。あれ修学旅行の時だ。
元気なかったなぁ、あの時の雄太。
もう既にアタシは好きだったから、自由行動中に友達の輪から抜け出てさり気なーく彼に話しかけたつもりだったんだけど(でも多分雄太はそんなことお見通しだったと思う)出逢った時がそれはまた重苦しい雰囲気だった。
なんでそんなことになったのかは、昔過ぎて思い出せない。
けど、その時、初めて、好きなひとの苦しそうな顔を見た。
それから会話すると凄く不機嫌で、イライラが伝わってきたの覚えてる。
でも、まぁいつも飄々としてる人だからたまにはいいんじゃないかと思って何かしてるわけでもないくせにただ話して傍に居た。
(それが彼にとって良かったか悪かったかなんて私には分かんないけど、ね。)
原因はもしかしたらアタシだったかもしれないし、そうじゃなかったかもしれない。
どんな理由にせよ、それが彼にとって話したくないことなら聞かない。
人には必ず、誰にも知られたくない過去や想いを持ってるんだと思う。
ほんの少しでもそういう雄太の部分に出逢えた私は幸せなんだと思った。

あんなにうるさいと思っていたはずなのに、いつの間にか雨の音も気にならなくなっていた。
アタシのイライラも大分納まって、落ち着いて机に顔を伏せる。
今なら熟睡できるな、うん。
雄太は、すごい。会わなくても彼のこと考えるだけで、私をこんなに落ち着かせることが出来るのだから。
ねぇ、でもたまに思うんだ。あなたはどうなのかな。
一人で泣きそうになったりしてるのかな。
あの時みたいなあんな顔、まだしてる?

ねぇ、雄太。







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