「え?!あ!何??」

「うん…えっとー…」

雄太はスポンジを置いて水を払う。
何か躊躇っているのが分かる。
少し状況が読めていたはず…今思うと…

「結凛ー。」
「…何?」

何で行き成り苗字で呼ぶのだろうか、この男。
いつもみたいに「儚空」っていいじゃん…
そら、そら、そら、そら。
それだけでいいのに!ホントに意味分かんない!!
彼は私の反応を素っ気無いと解釈しただろうか?
私はもう好きな人が隣に居る恥ずかしさからこの返事がいっぱいいっぱいだったのだ。

「顔、赤いよ。」
「え?うそ!?」
「ほんと。」

うわ…!やばい、やばい!もしかして、ばれたかな?
ばれたよね…なんて心の中で葛藤を繰り広げていると雄太がアタシから目を逸らした。

「ゆ…う、た」
「結凛、もしも俺がお前に告白したらどうする?」

……は?
真剣そうな雄太の声がいつもより近く…耳元で言っているように聞こえる。
アタシの心臓は破裂寸前。もういっぱいいっぱい。私は今精一杯の声で言った。

「…好きだ、よ?ゆう…たが…」

その声は届いていなかったのか、雄太は何も変わらない表情でアタシを見た。

「ゆうた…?」

緊張というもので表現出来ないほど震えるアタシは今自分にある力の声で言った。

「ん…?」

雄太は少し穏やかな顔で言った。
やっぱり聞こえていなかったのだろうか。そうなのかな。

「…聞、こえた?」

「…聞こえたけど、聞こえなかった。」

「…」

意味が分からなかった。雄太もアタシも。