私と美幸の出会いは、小学生まで遡る。
世間で言う”幼馴染”であるが、
私達は、保育園、
幼稚園と別々に通っていたので、
お互い知り合ったのは、
小学校が初めてだと思う。
去年成人を迎えた私は、
子供時代など、昔の話になる。
それでも、美幸の存在は、
昔から私のすぐ隣にあった。
何を思い出すにも、
彼女はいつも傍にいた。
でも、私と美幸の仲は、
御世辞にも良いとは言えない関係だった。

お互い独占欲とプライドが高かった為、
よく友達を取り合ったり、
陰で相手の悪口を言ったりと、
傍にいても、ライバル的存在であった。

彼女は、幼い頃に父親を亡くし、
母親からの愛情を沢山注がれていた。
年の離れた兄は、
いつも彼女の味方だった。
無いものねだり。

私は彼女が羨ましかった。

優しくて美人のお母さんに、
守ってくれるお兄ちゃん。
全て私から勝っていた。
私には年子の兄二人がいる。
二対一の喧嘩は絶えず、
父にかばって貰うばかりの私は、
兄達からは嫌われていた。
一緒にTVゲームなんて、
夢のまた夢だった。
欲しいものも買って貰えず、
万引きに手を出したり、
親の財布から小銭を盗んでは、
駄菓子やガチャポンで日々を過ごしていた。
親不幸者以下だなぁ。
泣く喚くが得意の私は、
嘘にも花が咲いた。
末っ子は我侭で甘えん坊。
皮肉れた子供の私だ。
ぬくぬくと暮らす美幸に対する嫉妬心を
私は他の友達を独占することで、
彼女からリードしようと
思ってたのかも知れない。