拍手が沸き起こった。

男の子の母親が何度も頭を下げてお礼を言っている。

「ありがとうございます!本当にありがとうございます!」

「いえ、息子さんが無事でよかったです。」

「後日お礼がしたいのですが、お名前教えていただけますか?」

「いやいや、ほんと当たり前のことをしただけなので、お礼とかけっこうです。」

「それじゃあ私の気持ちが収まりませんので!」

サワは女性の言葉を頑なに断った。

しかし全く折れる気配がない。

「本当に大丈夫ですから!」

そう言うと、サワは俺の手を引っ張って駅のホームを出た。