サワは母親の面会にも行った。俺も同行した。
母親は何も変わってなかった。サワの顔を見るなり眉を潜めて
「なんだ生きてたの。さっさと死ねばいいのに。」
と言った。
俺は怒鳴りそうになったが、サワは冷静だった。
「母さん、ごめんね。いっぱい傷つけたね。僕は何をやっても償いきれない罪を犯してしまった。でもね、生きるよ。母さんを幸せにしてあげられなくてごめんね。」
母親はサワの目を見ようとしなかった。
「母さん、僕を産んでくれてありがとう。育ててくれてありがとう。」
最後まで無言で俯いていた母親。
去り際、鼻をすする音だけが響いた。