どうしよう。サワを助けられなかった。どうしよう。

『ユウ君!教えて!今から行くから!』

涙が止まらなくなって、喋ることもできなかった。

ケータイを耳に当てたまま呆然としていると看護師が走ってきた。

「あなた、あの子の友達よね?あの子の親御さんは?わかる?連絡取りたいんだけど。」

俺はケータイを看護師に渡した。

「電話…繋がってるの?あの子の親御さん?」

俺は何も言わなかったけど察したかのように電話に耳を当てる看護師。

「もしもし。看護師の木村と申しますが。サワ君の保護者さんですか?…あ、伯母なんですね。サワ君、階段から落ちて運ばれて来たのですが、意識がない状態で。はい、はい。打撲と骨折は確認したのですが、まだ今精密検査中です。一緒に救急車に乗ってきたお友達がサワと呼んでいたのですが、お名前はサワ君で間違いないですか?あ、はい、井上…」

看護師はおばさんからサワの情報を聞いていた。