バッドエンドにさよならを


「…サワは?」

「あー、サワな。忙しいみたいで今日来れんって。」

「…そう。」

ホッとした反面、ぽっかりと穴が空いたような気持ちになった。

「サワも大変やからなー。まあ落ち着いたら一回くらいは顔出すんやない?」

二宮が首を傾げながら言った。

「え、サワ何が大変なん。」

「サワ引っ越すんよ。」

「え?」

「お母さんのとこ行って住むんやってー。まあ今までお母さん単身赴任しとって離れ離れやったから一緒におれるんはいいことなんかなー。」

は?待てよ。サワの母さんは単身赴任なんかやないやろ。記憶喪失で療養中やって。サワが母さんのところに行く?なんのために?サワも母さんも傷つくことは分かってるのにわざわざ?