優羽が死んだ日、俺は病院に行った。 眠った顔は無表情だった。 俺は声を出さずに泣いた。 外に出て、降りしきる雪の中、声を上げて泣いた。 その声は優羽に届くことはなく、雪と共に消えた。 そして、桜の季節。 優羽が見たがっていた桜が満開。 「桜木 優羽。」 忘れて、なんて出来る訳ない。 覚えてる。 桜が枯れても、 「桜木 優羽。」 夏が来ても、 「桜木 優羽。」 また木枯らしが吹いても、 「好きだ。」 ずっと忘れない。