「じゃあ、いってきまーす」 「うん、行ってらっしゃい」 平日の朝は学校へ行くのが 彼方の方が早いので、 玄関まで見送りに行くのが あたしの朝の日課になった。 「あ、忘れもん」 ドアに手をかけた彼方が そう言いながら振り返った。 「え?なに?」 「ん?行ってきますのキス」 「ぇえっ……!?」