「先輩」


すぐ近くから聞こえる結城くんの声にドキッと心臓が跳ねた。


動揺してるのを気づかれたくない。

平常心。落ち着け、私!



「ん?」


「メアド教えてください」


「あぁ、うん。いいよ。女バド二年の子たちのならみんな知ってるよ」


「え?」



そこまで高くはないけど低くもない声。
顔と声が合っている。


きょとんとした顔も可愛い。


私さっきから何回可愛いって言っただろ。

口に出したらキレられそうだから絶対言わないけど。

でも穏やかな性格してそうだなこの子。



「誰のがほしいの?」


「……えっと?」


「うん?」



パチパチと結城くんはまばたきを繰り返した。
睫毛長いな。羨ましい。


って、そうじゃなくて……なんだか私たち話が噛み合ってない……っぽい?