名前を知った今でも澤田くんとは呼ばず部長さんと呼んでいる。
「いや、中学ん時は陸上部でした。小学生ん時に地域のクラブに入ってやってただけです」
中学ん時はやってなかったのにすごい上手いんだ。
男子ってなんでみんなそんな上達早いんだろう。
寒いのか結城くんの頬と耳は赤くなっていた。
肌が白いからすごい分かる。
肌荒れなんて経験したことないんだろうその顔を見つめてると結城くんはこっちを向いた。
「先輩はどこで降りるんですか?」
「終点まで行くよ」
「じゃあ近いんですね。駅一個しか違わない」
電車が来たということを知らせるチャイムがホームに鳴り響いた。
電車の中は人が少なくてガラ空き状態だった。
やった! 座れるっ!
端っこが空いていたのでそこに座ると隣に結城くんも座った。
……隣、座るんですか。



