恋の魔法に




「別に……」


「手首どうかしたの?」


「何もないですよ」


「結城くんっ!」



なんで、先輩が泣きそうになってんだよ。


泣きたいのはこっちだっての。


先輩を困らせたいわけじゃない。
そうじゃないけど……


さっきまで空はまだ少しだけ明るかったのに今はもう、星が見え始めている。


もう迎えの車は来てるはず。
母さんからたぶんメールが来てるかも。


でもこの雰囲気で携帯は出せない。