ラジオ【短】

僕は、最後の1冊を持って、反対側の本棚に向かった。


そこで、ちょうど田中さんの後ろを通る。


僕は何を聴いているのか気になったので、その画面を覗いた。



するとそこには──



数字と、「MHz」という文字が…

僕はそれを、自分の音楽プレイヤーで見たことがあった。


ラジオだ。



「ラジオ…」


思わぬことに、僕はその単語を呟いていた。


イヤホンをしている田中さんが、クルッと振り返る。