そして、ふっと微笑む。


ほとんど無表情な田中さんは、口元を緩めた。


そして、クルッと振り向き、窓の外にある、広大な空を見上げた。


何故か、清々しい顔をしている。


その横顔が、動作が、僕にはとても眩しく、綺麗に見えた。


まるで桜が散っているようだった。


儚くて、それでいて静かに、おしとやかに、舞い踊る。


そんな田中さんの動作が、僕は好きだった。