ある日、彼女が例の“一連の動作”をしているのを見た。


確か、放課後だった。


田中さんはいつも音楽を聴きながら帰っているから、

曲でも選ぶのだろうか。



カバンを肩にかけると唐突に音楽プレイヤーを持って

何回かカチカチと押していた。


だが気にくわなかったのか、つまらなそうに顔をしかめる。


そしてまた数回ボタンを押し、満足そうにそれを内ポケットに入れた。