ラジオ【短】

僕が本を戻すと、田中さんは隣のイスを引いてくれた。


そこに座れ、ということだろう。



僕がそこに座ると、田中さんは左のイヤホンを渡してきた。


僕が左耳につけると、2人の間にコードが垂れた。



そして、そこから流れてくるのはアップテンポな、楽しくなるような曲だった。


歌詞は英語だから、誰の曲かなんてわからない。


だが、声の感じから言って、マイケル・ジャクソンだろうか。


どこかで聞いたことのあるメロディーが流れる。