……。
すとんとあたしをベンチに座らせてキラは何処かへ行ってしまった。
怖かった…泣き崩れてたから瞼が重い。
俯くと…クッと顎をもって上を向かせる……
キラだ。
缶のジュースを買ってきてくれていた。
熱かった目がひんやりとした冷たさに覆われる。
気持ちいい。
「ゴメンな、こんなに怖がると思ってなかった。」
そう言うキラに思い切り首を横に振る。
よかった、と呟く。
♪〜♪♪〜♪〜〜〜…
綺麗な優しいカノンが聞こえる。
キラが歌っているのだ。
美しいメロディが鼓膜を振動させる。
この曲が大好きだ。
どのくらい、時間がたっただろう。
時計を見ると、6:30。
30分もここに居たのか。
キラに「もう大丈夫。ありがとう」と伝えると、コクリと頷く。
沈黙が続いた中。
キラが口を開いた。
「おっしゃ!屋台、回るか!まだまだはしゃぐぞ!」
「うん!」
いつものキラだ。
優しい、キラだ。
手を繋いで立ち上がる。
