七瀬のその言葉には、何故か、つよさがある気がした。
でも、そんなの最初の、一週間だけだった。
日に日に、細くなり、苦しむことが多くなった。
「…。満、水瀬は、お母さんに預けてきたの?」
「あぁ。水瀬がいたら、うるさいかと思ってな。」
「ごめんね。世話、押し付けちゃって。私が育てたかったのになぁ……。」
七瀬は、どこか、遠い方向を向いた。
七瀬が向いた先には、窓があった。
でも、七瀬が、眺めているのは、窓ではなかった。
「七瀬が、育てなくちゃ、誰が育てるんだ?」
「満。」
平然と言いやがった‼
「だって、私にはもうすぐお迎えがくるんだもん。」
七瀬は、さみしそうに笑った。
その笑いは、とても、弱々しくて。
俺の知ってる、七瀬の笑顔じゃなかった。