「手術は、受けないよ。」
「な。」
「それより残りの時間を、精一杯生きる。薬は、飲むよ。延命治療はする。でも、手術だけは、受けない。」
その言葉は、まるで、決意のようで、もう、俺にはその言葉を覆せないようで。
なんだか、悔しかった。
「満より、先に逝くなんてしたくないよ。でも、これが私の運命だっただけ。仕方ないじゃん。」
七瀬は、俺以上に、現実を受け止めていた。
でも、俺はまだ、泣いて叫んでくれた方が良かった。
なんで、私が死ななきゃならないの、
そう言って、くれたほうが、俺も
反応しやすかった。
もっと、もっと、生きる事に執着して欲しかった。
そうしてくれれば、俺は、七瀬の助かる方法だけ考えれた。
でも、あんなに、決意を固めたような言い方をされたら、
どうしたら、生きたいと思ってくれるのか。
そこから、考えなきゃいけないじゃないか。

