俺が高等部に上がった頃。
七瀬が、いきなり髪を切った。
腰の上まであった髪を、一気に肩まで切ってしまった。
「七瀬、何で切った。」
問い詰めた俺に、七瀬は、微笑んで答えた。
暑かったからだと。
社長も知ってるよ。と、ニコニコ答えられ、それ以上問い詰められなかった。
問い詰めようとも思えなかった。
「満先輩。」
柊花の、猫被った声が聞こえた。
最近、学校でも、頻繁に話すようになった。
その時、あいつは、ちゃんと、先輩をつけて呼ぶ。
理由は、関係がばれないように。
「ちょっといい⁇」
タメで話すけど。
「いいけど。何⁇」
声を潜め、ボソッと言う。
「七瀬のことよ。」
俺は、場所を変えようといい、柊花の腕をとる。

