だから、知らないうちにもっと好きになっていた。
ただ、七瀬の顔を見て、嬉しくなって、七瀬といて、楽しくなって、七瀬と笑って幸せになった。
それが、日常だった。告白なんて、できなかった。
でも、それで良かった。
ただそばにいるだけで良かった。
そう思っていたのに。
翔希と柊花が、付き合い始めて、わからなくなった。
想いを伝えてもいいのか、ダメなのか。
俺は口下手だし、無愛想だし、面白くない。何より、コミュニケーションが苦手だ。
だから、クールだって言われる。別にクールじゃない。
ただ、人見知りなだけ。
話せないだけ。
なのに、みんな、好き勝手に言う。
クールだって。
カッコいい。
何も言わなくてモテて、羨ましい。
違う。
俺はそんなんじゃない。
もっと話したい。
モテなくていい。
理想を押し付けないでくれ。
そう思った。
でも、七瀬は、違った。
だから、七瀬が好きだった。

