love letter ~顔も知らない母からのメッセージ~



だから、知らないうちにもっと好きになっていた。

ただ、七瀬の顔を見て、嬉しくなって、七瀬といて、楽しくなって、七瀬と笑って幸せになった。

それが、日常だった。告白なんて、できなかった。

でも、それで良かった。

ただそばにいるだけで良かった。

そう思っていたのに。

翔希と柊花が、付き合い始めて、わからなくなった。

想いを伝えてもいいのか、ダメなのか。

俺は口下手だし、無愛想だし、面白くない。何より、コミュニケーションが苦手だ。

だから、クールだって言われる。別にクールじゃない。

ただ、人見知りなだけ。

話せないだけ。

なのに、みんな、好き勝手に言う。

クールだって。

カッコいい。

何も言わなくてモテて、羨ましい。

違う。

俺はそんなんじゃない。

もっと話したい。

モテなくていい。

理想を押し付けないでくれ。

そう思った。

でも、七瀬は、違った。

だから、七瀬が好きだった。