さぁ、練習なさい。


母親はそう言い捨てて、俺たちのレッスン場を出た。

「新曲、コスモス、で、CDには、カゲロウか・・・。」

「コスモスの花を付けて歌えばいいのにねー。」

「使うか。」

使うかといった俺に七瀬は、満面の笑みでうなずいた。

「使う!!」

~次の日~

「じゃぁ、次は、二週間前にデビューしたばかりの、fresh!」

緊張していた俺は、気付いたら、出番の直前まで来ていたことに気が付いた。

「はい。」

緊張している割に俺の声は冷静だった。

「今回、曲のテーマが、初恋って聞いたんだけど、歌詞見た時とかどう思った?」

蒼さんが、俺たちに聞く。

「じゃぁ、七瀬から。」

七瀬が最初に聞かれたらしい。

「私は、すごくピュアな歌詞だなぁって思いました。一途に思い続けるっていうのが、すごく素敵で。」

七瀬はすごく、幸せそうに笑った。

「もしかして、七瀬はそんな相手がいるの?」

「\\\いませんよっ!べべべべ、別に、好きな人なんかっ、」

そう言いながら、満を見る。

やっぱり、満が好きなのか。

分かりやすい。

なんとなく、予想はしていた。

俺の初恋は、すぐに終わった。

「じゃぁ、翔希は?」

「まるで、俺の好きな奴のことみたいだって思いました。そいつも、コスモスが似合うから。」

俺はにっこりそう答えた。

七瀬が幸せならそれでいい。

七瀬が幸せそうに笑う顔が好きだから。