そのうち、時は過ぎ、俺は、小学4年生になっていた。

いつの間にか一人称を僕から俺に変え、

七瀬ちゃんと呼んでいたのが、七瀬になり、

みっくんが、満になり、

ちーちゃんが千鶴に変わった。

その時、母親から七瀬とアイドルにならないか聞かれた。

俺はもちろん、イェスと答えた。

アイドルになれればよかった。

幼いころからの夢だった。

七瀬も、すぐにオッケーをだした。


小学4年生の夏、俺たちはレッスンを始めた。

毎日踊って、毎日ボイストレーニングをした。


毎日、毎日、飽きるくらい、踊ってボイストレーニング。

一度、諦めかけたときも七瀬が励ましてくれた。

七瀬があきらめかけたときは、俺が励ました。

「翔希、七瀬。あんたたち専属の作詞家よ。」

そう言って、母親の後ろから出てきたのは、千鶴だった。

「ちーちゃんっ!」

「七瀬。」

千鶴は抱き着いた七瀬を受け止め、紙を渡してきた。

「作曲は、できなくて、お母さんにしてもらったの。」

譜面だった。

「・・・・歌ってくれる?」

〝奇跡の欠片〟

俺たちのデビューを告げる曲だったと知ったのは、2年後。

小学6年生でデビューした時のことだった。