「浅井、おはよう。」
「おはよ。水瀬。」
浅井 ヒロ。ヒロって呼んでほしいらしい。
私の親友。
男が親友なんてって女友達に言われるけど、そこら辺のブリっこといるより気が楽。
だって、さっぱりしてるから。
「ロロは。」
「ロロなら、先行った。今日日直だってさ。」
仕方ない。浅井と二人で登校してやるか。
せっかく今日、3人で作った漫画をポストに入れようと思ったのに。
「いつもありがとな。浅井くん。」
「いえ。」
「ロロ君にもよろしく言っといて。」
パパは、浅井とロロの本名を知らない。
「行ってきます。パパ。」
「行ってこい。水瀬。」
二人で無言で歩く。
不意に浅井が私に話しかける。
「なぁ。水瀬の親父さんって、イケメンだよな。」
確かに、イケメンだけど、改まって言われるとなんか照れる。
「そうね。」
「どんな仕事してるんだ?」
「あ~。タレントみたいな?知らないかな。新見七瀬って。」
途端に浅井は飛び上がったような気がした。
「新見七瀬ええええ?!」
「そ。」
新見七瀬。
私にとって憎い名前。
何でパパが離婚した母親の名前を芸名に使ってるのか理解できない。