可憐な華にくちづけを






「私のことですか?」


ふいに掛けられた言葉



「違うの、藤原を思って言ったことよ。」


「そうですか、失礼しました。」



何事もなかったかのように蓮は真っ直ぐ背筋を伸ばして私の一歩後ろに立つ。




「…蓮、」


「はい。」





「んと…確かにお気に入りと言ったわ、だけど近くに居すぎよ。」


「…そうなんですか?」


「もしかして初めて?執事になるのは。」






一瞬だけ―――間があった。
1秒ともならないぐらいの間が。






「以前、少しだけ。」






嘘のような表情
連の頬が少し緩んだ。






「…そう。」


気になったけど、私は聞くことを止めた
聞いたところで何になるのよ?

今の蓮は私のお気に入りよ。