夏も真っ只中、車が行き交う、アスファルトの上だけ、景色がゆがんで見える。
耳に入ってくるのは、やかましいくらい大きな蝉の鳴き声。




「悠〜!カラオケ行こうぜー!」



慣れたように俺の名前を呼びながら、

1人の男子高校生が近づいてくる。


「いや、いいわ」

こんな暑い日はクーラーのガンガン効いた部屋で、寝っ転がってるのが1番だ。


「ええーなんでだよー、もう悠くんったらっ素直じゃないんだから☆」









(こいつのキャラはどうなってるんだろう。)


「ほら!見ろよこれ!」

自慢気な顔をしながら、1枚の紙を俺の目の前に突き出す。

紙との距離が近すぎて、ピントが合わせにくいが、紙には赤く濃い色でこう書いてあった。