カチコチと規則正しい音を刻みながら、時計は再び動き始めた。



「レヴ、この時計がどうかしたのか?」

「私の予想が当たっていれば…おそらく、状況はもう変わっているはずなのだが…」

「状況が変わる…?それは、一体、どう…」

セルジュが言葉を言い切らないうちに、不意に扉が開かれた。



「あなた方は、どなたです?
そこで何をされているのですか?」

部屋に入ってきたのは、おそらくはここの神父であろう初老の男性だった。



「驚かせて申し訳ありません。
私達はこの時計が止まっているのを見て、ねじを巻いていただけです。」

「時計のねじを…?」

男性は、私の顔と時計を交互に見ている。



「……そうでしたか。
それは、ありがとうございました。」

「いえ…それでは、私達はこれで…」

私は男性に微笑み、部屋を後にした。
セルジュも同じように私に続く。

先程、誰もいなかった祭壇の前にはたくさんの人々がいた。
これからミサが行われるのか、それとも終わった所なのか…



「おいっ!レヴ!
これは、どうなってるんだ!
さっきは誰もいなかったのに!」

セルジュが声を潜めながら私にそう耳打ちをした。



「それは、私にもわからないことだ。
だが、あの時計を動かせば、きっとこうなるだろうと予測はしていた…」

「なぜだ?
なぜ、こんなことがわかったんだ?」

「同じだからだ…」

「同じ…?何が同じだっていうんだ?」

「そのことについては、外で話そう…」

私達はそっと教会を抜け出した。




「レヴ!見なよ!
あんなにたくさんの人が…」

通りには大勢の人々が行き交い、本来、この町はとても賑やかな町だったということがわかった。

適当に歩いていると、少し先に公園のような場所があるのが見えた。



「あそこで話そうか。」