「やったな、レヴ!
これで終わりだ!」

「終わりじゃないぞ!
これからは、別の問題が待ってる。」

「あぁ、わかってるさ。」



立ち上がった私達に、好奇の視線が集まり、そのうち一人の老人が声を出した。



「あれ?あんたら、いつの間に…」

「あぁ、時計が停まってから螺子を巻いてたんだ。」

「そうだったのか。
あんたらが入ってたことにまるで気が付かなかったよ。」

「そうか、それはおかしいな。
…ところで、この町の先はどうなってるんだ?」

「あんたら、旅の人だね。
女神様を見に来たんだな?
この先には深い森しかないよ。」

「森…?!」

セルジュと私は顔を見合わせた。
おそらくその森こそが元の世界への帰り道なのだ。
私達は、診療所を後にした。



「レヴ…気持ちは変わらないか?
ここをまっすぐに行けば、元の世界に続く森へ出るそうだ。
このまま帰っても良いんだぞ!」

「私は几帳面だと言ったではないか。
人形のことが解決するまでは戻る気はない。」

「今回はなんとか成功したみたいだが、その次もそううまくいくとは限らないんだぜ。
それでも良いのか?」

「あぁ…難しい問題こそやりがいがあるってもんじゃないか?」

「几帳面って言うよりも頑固者だな!
わかったよ。じゃあ、行こうか、相棒!」

セルジュが私の背中を叩いた。
不思議な縁によって偶然知り合った彼が、いつの間にか最も信頼出来る友になっていた。
いや、偶然等ではないのかもしれない。
今はわからないが、きっと何かの意味がある…
私はそんなことを漠然と考えていた。



「先程の広場を通り過ぎようとしていると、祠の前に人々が集まっているのが見えた。



「そういえば、さっき爺さんが言ってたな。
女神様を見に来たんだな…って。
きっと、あれがそうだな。」

「せっかくだから寄って行こう。」

「レヴは、信心深いんだな。」

「良いじゃないか。
人形のことを祈っていこうじゃないか。」

あまり乗り気ではないセルジュを誘い、私達は祠の前へ移動した。



「けっこう人が多いぞ。」

「そうだな…では、ここから祈って行こう。」

私達は、人々の垣根の間から垣間見える女神像に向かって祈りを捧げ、立ち去った。



「思ったより小さい女神像だったな。
でも、これで大丈夫だな!
きっと、人形のこともうまく解決出来るぜ!」