「な、な、なんだって!
それは、一体、どういうことなんだ!?」

「この世界を甦らせてもらうために、私が君達をここへ呼んだのだ…」

「レヴ、俺は頭がおかしくなったのか?
俺には、今、この人形が俺達をここへ呼んだと聞こえたんだが…」

「心配するな。
私にも同じように聞こえている。
このまま、話を聞こうじゃないか。」

「ありがとう。
しかし、私の話はそれだけだ。
君達はあと少しですべての町を甦らせることが出来る。
そうすれば、君達は元の世界へ帰れる。
君達には、面倒なことを頼んでしまって、本当に申し訳なく思っている。
許してくれ…」

「どうして、この世界はこんなことになったのですか?」

「…それはある狂人のせいなんだ。
ある者が、自分にとって目障りな人間を封じ込むためにこんなことをしでかしてしまったんだ…」

「なんだってそんなことを…?!
目障りな奴がいるなら、そいつを始末すれば良いだけの話じゃないのか?」

「だから、狂人だと言ってるんだ。」

「なるほどな。
たった一人の人間を封じこむために、世界の時を停めてしまうなんて、そりゃあ明らかにおかしいな。
それに、そんな力を持ってるとはすごい奴じゃないか。
力を持った狂人ほど、始末の悪いもんはないな。
それで、なんでそんな大切な役目に俺達が選ばれたんだ?」

「それは私にもわからない…
私は、そいつのやろうとすることを止めようとしたが、止められなかった…
君の言う通り、そいつの力は計り知れないものだった。
私は、奴に歯向かった結果、こうして、人形の中に封じ込められてしまった。
ただ、私の最後の祈りは女神に届けられた。
この世界を救ってほしいという願いだけは…
そして、あんた達がこの世界に送られた…」

「じゃあ、あんたは元々は人間なのか!」

「その通りだ…
たが、私のことはどうでも良いんだ。
この世界さえ元に戻れば…」

「そんな…!
そういやあ、その狂人って奴は誰なんだ?
あんたを元の姿にするには、そいつに頼むしかないんじゃないのか?」

「わからない…
いつの間にか過ぎ去った長すぎる歳月のせいなのか、そういう魔法でもかけられたのか…
そいつの正体も私自身のことも、記憶がおぼろげなんだ。
はっきりと覚えているのは、今、話したことだけなんだ…」

そう呟いた人形の顔が妙に寂しげに見えた。